晴鉄雨読

晴れの日以外はカメラを握らず。雨なら家で読書をば

61.さようなら、思い出の北陸

2023.04.01 特急サンダーバード25号

2年前からずっと温めていたものだがもういいだろうと思いこの時期ながら放出をさせてもらう。

2024年の新幹線敦賀延伸に伴って消えたレジェンドスター、北陸特急。昔を思い起こせば"北越"や"はくたか"、寝台特急トワイライトエクスプレスなんてものも走っていたが2015年の第2次延伸で新幹線が金沢へとやってくるようになると次々姿を消し、九州新幹線以来の「幹線特急大量消滅」を目の当たりにして得も言われぬ気持になったことを思い出す。そういえば特急だけでなく快速や妙高号といったマニアが大好きな乗り得列車、そして富山を走っていた475系や食パンこと419系といった急行型を改造したネタ車両も軒並み消滅したんだっけか

それから9年、早いのか遅いのか分からないがいよいよ新幹線が金沢から福井県へと足を踏み入れ敦賀に到達。北陸特急と青い交直流の普通電車は遂に名実ともに北陸路のメインステージからは姿を消すこととなった。

2015年の開業当日はといえば、新幹線の開業セレモニーをテレビで見ながら"はくたか"時代に東京から激混みのMaxときの下層席に座って越後湯沢で乗り換えの時に買ってもらった笹団子の味、北越急行を信じられない速度でぶっ飛ばしていく時のドキドキ感、朝早くにあった新大阪、京都、福井、金沢、高岡にしか止まらない超速達サンダーバードに乗って富山に行ったときのこと、貧乏すぎて18きっぷ北陸本線を完乗したときに特急2連続退避に驚いたこと....北陸路でできた思い出振り返り、寂しい気持ちになったものである

いつの時代も"嘘だろ?"を私に絶えず提供してきた北陸も今日で終わり。安定と信頼の新幹線に切り替わる

時代が進めばその分無くなるものがあるというのは鉄板ネタのようなものだが、やはりそれを目の当たりにするとどうしても受け入れがたいという気持ちが前に出てしまうものだ。もちろん新幹線開業は鉄道の発展に不可欠ともいえるものでマニアとしては喜びたい反面、どうしても手放しに喜べない部分があるというのも事実である

それでもやはり北陸に楽しませてもらった一人のマニアとして、「ありがとう。北陸本線、おめでとう、新幹線開業」と言わせてもらいたいと思う

最後に私が北陸で作った一番の思い出の写真を紹介させてほしい。上の写真は初めて北陸本線で撮ったそれらしい風景写真である。駅からほとんど推測でたどり着いた撮影地で撮るという初めての経験だったものの、大変に良い撮影地だったことを思い出す

柔らかな日差しに包まれた桜のトンネルをかっ飛んで行ったサンダーバード、そして現地でお会いできた沿線鉄の方、ありきたりな構図だが私にとっては何より楽しく思い出に残る一枚となった

もうこの場所で同じ写真は撮れないけども、いつまでも大切に残しておきたい。タイムリミットがあったからこそ色々思い切って楽しめたのかもしれない北陸はこれからの鉄道マニア人生の大きな契機になった。ありがとう。そしてさようなら。思い出の北陸線