晴鉄雨読

晴れの日以外はカメラを握らず。雨なら家で読書をば

番外5.大盛況

2025.06.30 芋坂跨線橋

夕陽の照り付ける中、本当のラストランを迎えたカシオペアを本気で迎え撃つ面々。上野から最も近い撮影地の一つで思い思いのラストカットを切り取る

釜は面潰れ状態だったので側面重視のカシオペアラストランの盛況っぷりを。皆さんご協力ありがとうございました!

86.上野発の夜行列車の面影を追いかけて―

2025.06.28 上野駅

四季島ホームとして13番線の荷下ろしホームが改造されどうも「特別感」が演出されてそれはそれで結構なのだが、往年の夜行列車のイメージとはかけ離れてしまったような気がする。もっとこう、日常の中の非日常といってもそれは完全なる日常との境界線があるわけではなくて、ちょっと手を伸ばせば届きそうだけど届かないという距離感がマニアの夢を掻き立てていたというのが私の感想である

昔はトオサンバンから出る列車を隣のホームからずーッとあこがれの目で眺めていたのを思い出す。普段使いの通勤電車の合間に非日常の寝台特急が時折出たり入ったりしていく様が大変面白かったものだ

土曜日ということでスーツ姿のサラリーマンの姿こそ見えなかったものの、休日のお買い物帰りの若者が座るベンチの向こうに見えるあの車体は間違いなく私が昔見たカシオペアの姿そのものだった。この情景こそ数多くの鉄道少年を鉄道マニアへと変換した装置だったのかもしれない

 

トオサンバンの大改造が必ずしも悪かったわけではない。タイル張りの床面に貸すかに反射するカシを見れるのは悪くないマニアへの"お駄賃"だった

88.さよーなら!これ限り!

2025.06.28 赤羽流し

カシオペアがラストランを迎えるらしい。いつか来るとわかっていたとはいえその事実を突きつけられると関東の鉄道マニア界隈は騒然としたのだった

思い起こせば我々は学生時代から多くの四文字ないしは五文字のショバで寝台特急を迎え撃ったものである。関東に住んでいる人間としては宇都宮線ならヒガジュウ、ワラナン、ヒガハス、ワシクリ、クリコガ、カマス、配給列車も含めればノギママにも手を出したことがあった気がする。高崎線にもよく撮りに行ったものだ。クマギョウやオカフカ、オカポン、ジンボシンなどやたらと10両編成に乗っていろいろなところへ行くことが多かった。尺貨PFが高崎線を行きかっていたころは宮原面縦にも足繫く通ったものだ。こう、宇宙軒カーブや釜谷S字、蟹田スト、油川スト、シラジンが出ていないのがいかにも貧乏学生感あふれるものだと今になって思う。己の体力だけで勝負していたのが丸わかりである

中学生とか高校生の時は英単語よりもショバの知識があるダメ学生として鉄仲間と毎週のように撮りに行っていたのも懐かしい(毎日行けるほどお金がなかったというのも解像度が高い)。そんな中でも大回りで手軽に行けるショバとして名高かったのが赤羽流しである。赤羽面縦は構図があまり好みではなかったが、こと赤羽流しについては「下り東北線のショバに困ったらまずここへ行け」の代表格だったように思う。曇りの宇都宮配給はここか西川口で迎え撃つというのも6月の恒例行事であった

普通電車の本数が多いため1時間に何度も練習ができるというメリットもあり、よくここで流しの練習をしたものだ。鶯谷やヒガジュウ、大宮に比べて光源がしっかりしているので手軽な夜のショバとしても名高いため夜行列車の見送りには毎度毎度お世話になっていた(変な集団が湧くことも少なかったので安心安全なショバというイメージも私にはあったのだが。)

そんな過去の思い出を胸に闇耐性のない機材で挑む。ISOを4000以上にすると絵だ!みたいに言っていたのを思い出す。SSをどれだけ下げれるかチキンレースもやったっけか。そんな昔の設定を思い出しながらついに客車寝台のラストランを見送る

気づけば赤羽駅には多くのマニアが詰めかけ、いつもマニアは5~6人しかいない湘南新宿ラインのホームには150人ほどの人々がカメラを持ってカシオペアの通過を待っていた

「まだ出るなよ~」の懐かしい掛け声が聞こえる。甲高い汽笛が聞こえると皆一斉に乗り出して「ちょっと下がって~」なんて言ってたのを思い出す。この乗り出しも恒例行事である。今回はその乗り出しを逆手にとって「ラストラン風味」として味付けしてあげるのも良かろう

接近が鳴りラストラン特有の失敗できない緊張感が辺りの空気を包み込む。ハロゲンのライトが見え、汽笛が鳴り響くと一斉に乗り出してカメラを構えるマニアたち

そうそう、カメラだけ乗り出して帰りの電車で腰が痛くなるんだよなぁ...とファインダー越しに見える前のマニアの姿勢を見ながら思う。限界まで下げた攻めの設定でいざ勝負!思ったより速いで有名な赤羽通過にはいつまでたっても慣れやしない。

帰りの埼京線で撮れた写真を振り返るとちゃんと止まってホッとする、こんな感覚は久しぶりである。たしかにノイズまみれの写真だが乗り出すマニアや思わずカメラを向ける一般人などこれはこれでいい感じにラストランの"様"が出ていて面白い。苦学生ゆえノイズに悩まされた私の夜行列車撮影人生もこれにてひと段落といったところだろうか。悩まされた分だけ私を成長させてくれた伝説となった夜行列車たち、こんな苦しくも楽しかった日々も今夜でおしまい。最後の夜行客レにめいっぱいの感謝を込めて

さよーなら!これ限り!

83.街のシンボル

2025.5.5 阿倍野~松虫

毎年5月の特別運行で必ずと言っていいほど多くのマニアが集まる松虫界隈。道路に乗り出さずにあべのハルカスと路面電車が撮れるスポットだから人気なんだそうだ。午後早めの順光ということもあり今年は午前だけの運行とはいえギリギリ最終行路ではちゃんと順光になりそうだ

と、いうことはそれだけ人が同じ時間に集中するということ。ク~ッ、私の入る余地はあるのかなぁ?と思いながら向かうと予想以上の人だかり。関西に来たときは京都線ユーザーとなる私の視点から言えばEF81でも来るのかというレベルの混雑である。えぇ?路面電車にこの人だかり?である

とはいえハイパーローアングルをかませばまだ入る余地は全然ある。車に命を持っていかれないようにだけ用心し、直乱という立場を弁え、遠慮がちのローアングルでハルカスを入れてみる。もうちょっとハルカスは近いほうがいいなぁ、、と思いながら列車主体で構図を組みなおす。

アスファルトからの熱で手に汗をにじませる頃、5分遅れでヤツが来た。ハルカスと青い空、そして青い車体の青尽くめで今年の特別運行を見送る

次に来るのは初詣応援の時になるだろうか。ロケハンをしながら来年の構想を練り始める。陽の状態で表情を変える風景と電車を見ているといくら撮っても撮り足りない。こうやって沼にハマっていくんだなぁ...ともう抜け出せなくなって何年も経つ頃にしみじみ感じさせられるものである。ここにもまた来ようかな

Inventi! その6 万博×モ161

2025.5.5 帝塚山三丁目界隈

大阪・関西万博が開催されるにあたり街中にポスターが張り付けられている。ミャクミャクのマンホールまで作ったそうだ

とかくマニアは期間限定イベントに弱い。「限定」とみるとなりふり構わず大学や高校の授業を忘れて、勤め先にスライディング土下座までして休みを捻出し限定運行の列車を撮影する。私もよくやったものである

この、「限定」が二つ連なるとさらにマニアは弱い。どうしても限定×限定の奇跡のコラボレーションを撮りたがるのだ。今回でいえばモ161×万博だろう。5月の特別運行を逃すと次に出てくるのは団体列車か初詣応援くらいのものだ。団臨は機会が限られるうえに運行予測もできないので実質的に私がああでもないこうでもないと下調べをして撮れるのはこの5月の運行が年内最終とみて間違いない。万博は10月に終わってしまうから、何としても万博のポスターや関連イベントと絡めて1枚は取りたい。と思っていた

実は帝塚山界隈には有名なたばこ店があり、そのたばこ店の雰囲気とモ161がよくマッチすることで知られていたためそれを目当てに降りたのだが探せど探せど一向に見つからない。困ったもんだとGoogle mapsで見るとつい去年かおととしにマンションに様変わりしていた。寂しいものである

しかしこのまま引き下がるわけにはいかない。次は万博関連のものを探して線路際を歩き回るとちょうど郵便ポストの横に万博のポスターを見つけた。これならギリギリ入るだろう。しかし建物に阻まれてやってくる列車が全然見えない。特に最新型は音が小さいのでマニアの"カン"で練習電のシャッターを押す。モ161は大丈夫かな?と案じていると吊り掛け駆動特有の鳴き声が聞こえてきた

そうだ。モ161はうるせぇんだ。昼前の帝塚山のマダム街の静寂を破ってモ161がひょっこり顔を覗かせた

82.藤に囲まれて、幸せ。。

2025.5.5 我孫子道~大和川

市内電車と銘打つからには都市を走るのがトラムの風景といわれるべきなのかもしれないが、普段自然と格闘している面倒くさいタイプのマニアにはコンクリート=ジャングルを駆けずり回る作業は面白みに欠けると感じることが少なくない。

阪堺電車でモ161が走る!と言われればそりゃ行きたいと思うのだが、午前中から熱いのにアスファルトの上を延々歩き続けるのはやはり辛いものがある。たまには自然と戯れながらゆる~く撮りたいものである。

阪堺で自然を感じる、といえば浜寺界隈と大和川だろう。住吉の境内は確かに自然溢れるところかもしれないが阪堺線に面したエリアは太鼓橋くらいしか良いスポットが思いつかないうえ被る確率もそこそこ高い。浜寺界隈も良いのだが午後順光のスポットが多め、、う~んむつかしい。しかし大和川界隈は午前も午後も撮れる割とお手軽ショバで河川敷も完全にコンクリートで埋められているわけではない。まぁ中央線の多摩川橋梁と同じような感じである。しかも浜寺ー我孫子道の経路であれば下り一番列車を撮った後ロケハンをしつつ転戦をすることも可能だ。という打算的志向で最初のショバは大和川に決定。姫路駅の始発に揺られること3時間半。ようやくたどり着いた大和川の順光サイドには溢れんばかりの紫の小さなクサフジの花が土手に咲いているではないか。

これで最初のショバは大和川に決定。朝8時半からクサフジの花に囲まれてゲバを広げる、なんて幸せ?なんだろう

よい朝は、よい香りから。抜けるような青空に似合うモ162号が軽快に通過していく。h久しぶりにトラムを追いかける長いようで短い半日が始まった

81.手に汗握る!尾道俯瞰

2025.05.04 JR山陽本線

ゴールデンウィークではなく、「ゴールデン=フォーデイズ」のようになってしまった本年の5月頭の大型連休。実に悔しい限りである

短い休みの中例年通り関西に帰省する、、のだがどうにも気が進まない。うん十回同じルートを通るのも飽きたし、静岡とか名古屋とか途中の寄り道先も尽きてしまった。どうしよう。。。と悩んでいると、近畿車両で227系が着々と製造されているらしいという情報をキャッチ。いよいよ2年前から細々と追いかけ続けている岡山115/113を本格的に追い掛け回す時期が来たようだ

どうせ大阪に行くのだ。岡山も三原も誤差の範囲である。往復切符を作れば1割引きになるし、もうすぐその制度も使えなくなる。だったら最後にその割引制度を使ってしまおう。そのついでに国鉄岡山でも行こうかしらという魂胆である

5月といえば晴れ。晴れの国岡山も世間様のゴールデンウィークに配慮し5月第1週の天気予報は軒並み晴マークが表示されていた。だったらまずは手始めに尾道に行くしかない

瀬戸内海と岡山の末期色。これを一気に俯瞰で撮れる場所は尾道を置いてほかにない

夏の灼熱地獄の中俯瞰ショバに行く体力はもうないし、5月の涼しいうちに回収しておくのが吉であろう。ということで行先を決め一路岡山へ。

岡山から列車に揺られること1時間と少し。観光客でごった返す千光寺の参道を横目に私は駅から40分歩いて尾道大橋へ。道中ショバの下調べをしていると「広島県下第一の恐怖ショバ!車が立ち位置の30cm後ろを爆走していくのでめちゃくちゃ橋が揺れるし風がクソ強い!」とTwitterに書き込みがあるではないか。しかし金を払って来たからにはみすみす諦めるわけにもいくまい。貧乏人のド根性の見せどころである

いざ尾道大橋へ続く道を登っていくと「悩みがあるならここへ。借金を抱えている方、学校でうまくいかない方、」などと不穏な看板が建っている。電車マニア以外にも悪い意味で有名なスポット?ふと諏訪峡やザンゲ岩の話を思い出す。さすがにこんなものを見たら肝が冷えるものだ

とはいえ車の流れも悪く、尾道大橋は渋滞中。歩いたほうが早いレベルである。これなら車にひかれる心配はまずない。おまけに風も車がふさいでくれるのでだいぶ快適である

が、橋には胸の高さ以上のところに手すりはない。もし手を滑らせてカメラを落とせば二度と戻ってこないのである。もはや写真の出来よりもカメラに神経をとがらせつつ待つこと40分。やはり悪い意味で有名だというのは正しいようだ。私はまだ命が惜しいマニアなので手に汗を握りながらお昼頃の糸崎行の普通列車を迎え撃つ

岡山方面からミカン色の列車がやってきた。いやぁ海の色によく映える。加えて橋上の渋滞とは裏腹に線路沿いの道は奇跡的に車が来ていない。これは頂き!と恐怖と興奮が入り混じったて汗まみれの手でシャッターを押す

さて尾道ラーメンでも食べて帰るか、、と駅へ戻ると昼下がりなのにもかかわらず長蛇の列。また尾道に来る理由ができてしまったようだ

今度は千光寺俯瞰にでも行こうかしら